Concert Impression
2023年8月26日 大阪交響楽団 ライトシンフォニックコンサート 大人の贅沢 ザ・シンフォニーホール ゲスト:布施明、エリック宮城(Trp.)
ご来場下さいまして有難うございました。方や説明する言葉が見当たらない程のシンガー・ソングライター、布施明さん。方やアメリカの名門ビッグバンドを渡り歩いてきた、名トランペット奏者のエリック・ミヤシロ。正に日本の至宝と言うべき二人の登場を目の当たりにして頂きました。
布施さんとお会いする時には今でも大変緊張しますし、心づもりとでも言うのでしょうか、メンタルの準備運動が必要な程です。それは布施さんの持つ音楽の深さはもちろん、素晴らしく博学な知識を持っておられることを知っているがゆえに、自然と自分の体が怖気づいてしまうからなのです。もちろんいつも優しく接してくださいますし、それが私の表情をも解きほぐしてくれるのですが、本心は「全てを見透かされている」そんな気持ちで一杯なのです。ステージ上からアラウンド80と仰っていましたが、一体どこにこんな、??歳のシンガーが居るでしょうか? ステージ上の近いところから、そのモンスターの生声を聞けることの幸せを皆さんに分けて上げたい!!。
そしてエリック・ミヤシロ。来日間もない90年頃からスタジオで会ってはいましたが、オケのゲストとして来てくれたのは96年のこと。オケでの共演も、間もなく30年になるという訳です。彼が日本に来てくれてからスタジオ業界はもちろん、日本の金管業界が飛躍的な進歩を遂げました。それはとりも直さず、彼が金管奏法の全てを包み隠すこと無く日本の奏者に伝授してくれたことに他なりません。私のレコーディング仕事、テレビの仕事、そしてオーケストラとの仕事。その全てを私の能力以上にグレードアップしてくれました。「ポップス」というとジョン・ウィリアムスかJ-POPになってしまう日本のオケ業界です(もちろんそれが嫌だと言っている訳では有りません)。そこに何とかボストン・ポップスやニューヨーク・ポップスといった、本場のポップスオーケストラのサウンドを広めたかった私にとって、彼の存在は実に大きなものでした。私は彼と同じ時代に生まれ、同じ時代に音楽を語れることの幸運に感謝せざるを得ません。
更には、大阪交響楽団の芸達者たちの事。翌日、京都の綾部市でも公演が有ったのですが、そちらはプログラム中の布施さんとエリックの部分を、楽員たちのソロやアンサンブルで補うという内容でした。つまり、楽員たちは2日分の演奏楽曲をたった1日のリハで仕上げたのです。しかもウィットに富んだ奏者たちの素晴らしいこと。一度もやったことのない譜面を、そして公演に懸ける私の意図を(小芝居も含めて)、私が考える以上に汲んでくれるのです。本番はもちろんですが、そのリハの様子を皆さんに見て頂きたい程でした。歴史的には若いオケかもしれませんが、彼らの「興味の方向」や「面白がることの大切さ」は、きっとお客様が求めていることにも直結している筈。どうぞこの若い大阪交響楽団を、皆様の手で大事に育てて上げて下さい。ご来場頂きまして有難うございました。
2023年7月1日 岩崎宏美+良美 meets 新日本フィルハーモニー交響楽団
15年程前に宏美さんのコンサートツアーをお手伝いしたことがありましたが、その時の打ち合わせのことを今でもよく覚えています。通常のコンサートでは曲が足りずカバーを歌う事が良くあるのですが、この時の打ち合わせは「どの曲をカットしようか?」と、あまりのヒット曲の多さがゆえに、やらない(やれない)曲を決めるのにスタッフ一同苦労していたのです。もちろんアルバムからの曲を多く入れれば、自らの曲で構成できる人も沢山いるとは思いますが、宏美さんの場合は候補曲の全てがヒット曲だったのです。しかも当時はプロ中のプロでないとスタジオ作業に携われなかった為、とても内容が良いのです。私は「想い出の樹の下で」のスケール感にやられました。同様に編曲も超一流の人たちばかりでしたから「オーケストラとの親和性も良いだろうな」と感じながら作業をしたことを覚えています。何とリハはご実家の2階にあるリハーサルスタジオで行われるという、理想的な環境で羨ましくも憧れました。当時、私は墨田区立川に住んでいたので歩いてリハーサルに行ったこともあったと思います。逆に私の家で「青春のポップス」のメンバーと飲んでいるところへ遊びに来て下さったことも。
そしてこの日の宏美さん。第一部バンド編成でのリハも見せてもらったのですが絶好調でしたね。そして良美さんのセンスの良いこと。それはフランス語を操る等というということではありません。1つ1つの言葉の出と終わりの処理、そして歌詞をどう聴かせようかという歌詞に込めた思いが素晴らしいのです。宏美さんの歌唱力と良美さんのセンスという、1度で2つのテイストが味わえる、私自身がとても楽しめたコンサートでした。
2023年4月29日 広響POPS CONCERT ゲスト:水樹奈々
いやぁ、嬉しい1本でした。出演して下さった奈々さんはもちろん、全国からお出で下さったファンの皆様に心から感謝いたします。現地でも少しお話ししました様に、昨年7月、神戸で奈々さんのコンサートツアーを見せて頂きました。まだまだ「あれやっちゃダメ、これやっちゃダメ」という制限の中にありながら、会場で皆さんの熱い思いは充分に伝わってきました。かつての奈々さんコンサートの様子を知っている私にとっては、それだけの制約の中にありながらも、一生懸命に形を変えた応援を考えてくれていることに大変感動したのです。むしろ制約が大きいからこそ、心からの声援は何倍にも膨らんでいたことでしょう。帰りのポートライナーの駅でも多くの方が声を掛けてくださり、ずっと奈々さんを好きでいてくれることを、そして応援制限のある不自由な中でも会場に来てくださることを、コンサートに関わったことのある者の一人として、とても嬉しく有り難く感じていたのです。そして帰り道「広響POPS に奈々さんをお招きできないかなぁ」と、ぼんやりとした設計図の様なものを考え始めたのです。
GRACEシリーズをご覧頂いたみなさんは御存知でしょうが、オケ100人超え、コーラス200人等という、その規模の大きさから、私はオケ側のゲストに奈々さんをお呼びすることを大変躊躇していました。「臆していた...」という方が表現としては近かったでしょうか。「奈々さんを呼べば集客に繋がるのではないか?」と目論む、沢山のオケから打診も受けていましたが「やるなら、まず奈々さんのコンサートを見に行って、その規模を理解して下さい。」と言って、その全てを断ってきました。未だに「オケはPAするものではない」とか「リズム隊入れたらオケではない」等という評論家たちの無理解を、「曲目に関係なく」そのままオケ側の論理として振り回すという大きな障壁があるからです。この種のコンサートでは、リズム隊もPAも「楽曲そのものが欲しているという事であり、お客さんの満足度合いが要求している」から入れるのであって、曲も聞いていないオケ側が決めることでは無いからです。本当はPAやリズム隊に予算掛けたく無いというだけのことを「音楽的観点からだ」として、都合良く使い分けられる事もしばしばだったし、引き受けてお金はもらえたとしても、ファンの皆さんや奈々さんをがっかりさせることは避けたかったのです。ボストン・ポップスはもちろん、よく響く名門カーネギーホールでやっているニューヨーク・ポップスでも、会場でしっかりPAしている姿を見ることが出来ますし、名指揮者の故岩城宏之さんが「ジョン・ウィリアムスなんかはPAした方がカッコ良いよね」と仰っていたことに励まされるのです。繰り返しになりますが、リズム隊もPAも、楽曲そのもの自体が欲求しているものなのです。
そして今回の広響POPSコンサート。17年も続いてきたコンサートで、これまでに多くのトップシンガーが華を添えて下さったお陰もあり、コロナ前まではソールドアウトが続く私にとっても大変嬉しいシリーズでした。広島FMという多くの催しを企画運営している会社のフォローがあったことで、PAや照明にもしっかりしたスタッフが付き、コンサートとしても大変成長してきたと思います。また大変幸運なことに、広響にはソリストとしてフロントに出すことの出来るスタープレーヤーが沢山揃っているのです。これはポップスオケをやる時にバリエーションとして非常に重要な部分ですし、更にはプロデューサー・マインドを持った楽員たちがオーケストラを牽引してくれます。今回は17年掛けて少しずつ整ってきた広響POPSの環境が「臆していた私」を奮い立たせてくれたと言って良いと思います。
また、今回は長年広響POPSを好きでいて下さった広島の方々にチケットの先行発売をしました。その方々への配慮もあったのでしょう、奈々さんファンの人達から広響事務所に、マナーのことやサイリウムのことへのお尋ねがあったそうです。しかもその電話が本当に真摯で丁寧な問い合わせだったと、事務局員が感心していた事をここでお伝え致します。私個人としては、シキタリとかマナー教室のオバハン...というのが大変苦手です。カーネギーへ行くのもGパンとTシャツですし、ドレスコードのあるレストラン(店が客を選別するという)にも絶対行きません。それより堤防で釣ったばかりのイワシを指で開いて食べたほうが美味しいから。話逸れました...。
広島のお客さんへの優しい配慮から、応援を自粛して下さったファンの人達も多かったことでしょう。でも、私としてはファンの皆さんのサイリウム芸を、ぜひ広島の方々に見て頂きたかった!!。音に合わせたプロジェクション・マッピングもポピュラーになってきたでしょう?。しかもそれを人力でやるという奈々さんのファンたち、あれはもう光のアートと言って良いと思うのですよ。あれだけシンクロしたマスゲームはピョンヤンでしか見られません。ニューヨークの1年遅れですが、もうすぐ科学的根拠の希薄な規制も解かれ自由になりますね。良かった、良かった。
そしてもう一つ、このシリーズをずっと担当している広響スタッフのNさん。この京都人はスゴイ!!。とても穏やかな男なのですが、ゲストに出演の打診を断られても断られても食い下がり交渉を続ける。出演交渉の為には演歌のコンサートも見に行くし、何と3年掛けて口説き落としたゲストもいました。そんな三顧之礼をしておきながら、その後にギャラの交渉が待っているのです。現代人はみんな交渉事不得意ですよね。それを厭わない彼の交渉能力や粘り強さには頭が下がる。きっとこれまでのゲストの皆さんも「えっ、このギャラで!?」と思った筈です...ハハハ。私のギャラも「ずっとこのままなんだろうなぁ...」と思いつつ、「来年の話なんですが...」という彼の笑顔に「やります、やります 、ハイッ!!」と答えてしまうのでした。どの世界でも使われる側は弱いよねぇ。さあ仕事、仕事!!。
2023年2月2日 とあるオーケストラでのクローズドコンサート。大学入学のため上京して住み始めた両国界隈。そして間もなく始めたキャバレー・バンドマン生活。そこで触れたアメリカの超一流アレンジャーたちが書いたビッグバンドスコアのサウンドは、それまでに聞いてきた軍艦マーチに代表されるブラバン譜とは根本から違っていて、私をアレンジャーの道へと誘うに十分なものでした。師匠がいなかった私は、手探りで譜面を書かせてくれるキャバレー周りの歌手やショーマンを探していたのですが、そう世の中が甘い訳もなく、ひたすら明日をも知れぬバンドマン生活を送っていました。そんな中、ある人が「ちょうどレパートリーの曲目を入れ替えようと思っていたので書いてみる?」と言ってくれたのです。その人はストリップのオネーさん。今から50年も前のこと、きっと背筋も凍るような譜面だったと思いますが、そこから私のアレンジャー人生が始まりました。この日は、そんな私の青春を回想した、アメリカ音楽との出会いと、ストリップで使われる名曲集がテーマでした。
ストリップの音楽はダンサーが踊りやすく、また助平なお父さんが「ムフフフ!」と妄想を膨らませる手助けをする必要があります。が、そこで使われている曲は、決してストリップのために書かれた曲ばかりではなく、ラテンやシャンソンの名曲も沢山使われています。つまりエッチな妄想はお父さんの頭の中で醸成されるもので、決して曲自体に罪も非もあるものでは有りません。ロシアの侵攻以来、国内のプロオケでチャイコフスキーの曲が取りやめになったという話が気になっていました。古くはヒトラーが「ジャズやブルース」を退廃的な音楽だと禁止したこと、同様に日本でも、それらの音楽を「敵性音楽」として禁止をしていたこと等など。このメドレーを書いていて「誰もがいつでもどこでも、好きな音楽を自由に聞くことが出来る。」そんな当たり前のことが、自主規制という名の強要も含め制限されることの無いようにと願った本番でした。
2022年11月23日
宝くじ おしゃべり音楽館 宗像ユリックス公演
楽屋に向かう廊下にあったホワイトボードに、こんな粋な計らいが...。きっと素晴らしく良いセンスのスタッフが居られるのでしょうね。リハ前から嬉しい顔にしてもらえたという嬉しい1本でした。ありがとうございました。
2022年9月3日
新日本フィルハーモニー交響楽団 南こうせつ meets 新日本フィル
まさかこんな日が来るとは...、そんな不思議な思いで迎えた1本でした。南さんとは音楽番組でも何度もお会いしていますし、
佐賀県の吉野ヶ里遺跡での壮大な野外コンサートでもご一緒した事がありました。
しかし、私の一番の思い出は、南さんが全日本歌謡選手権に出られた時の放送をリアルタイムで見ていた事。当時、私は田舎の中学生でした。
放送から50年以上にもなるというのに、なぜか南さんが出場された時の番組映像がフォトメモリーとして脳裏に焼き付いているのです。
周り盆の様なステージだったかなぁ。そんな白黒テレビ(実家は物持ちが良くて...)での一コマを良く覚えているは、
南高節という名前も心に引っかかっていたのかも知れません。そんな南さんとこんな晴れがましいステージに立つ日が来るとは、
50年前の私はもちろん、一体誰が想像したでしょうか。人の出会いは本当に不思議なものだと思います。
南さんがどれほどの気持ちで音楽に向かっておられるか、リハーサルでの出来事を少しお話ししましょう。
名作「神田川」の2節目にバイオリン・セクションが、静かに単音を延ばしている部分があるのですが、
歌い終わってから「気持ちいい!!。この幸せな気分をもう一度味わってみたい」と、何千回も歌っている曲を再度返したのです。
その言葉をそのまま信じて良いのか、それとも「もっと歌詞に合う感じで...」と思っておられたのか、今でも私には分かりません。
もちろんその時点でオケの演奏は問題無いどころか素晴らしいものでした。しかしリハを返した事によって、
オケはよりその部分に注意を払ったはずです。人心掌握かくあるべきと言ったところでしょうか。どちらにしても見事なものでした。
そして、南さんのサポートメンバーの素晴らしい事。南さんバンドだけのリハーサルを見せてもらいましたが、
僅か3人で南さんの音楽世界の全てを網羅する見事さに脱帽しました。正に「必要十分条件」という言葉が浮かんで来ます。
編曲家は「どう、このハーモニーカッコ良いでしょ? 」という勉強を続けるのですが、故にオーバーアレンジになる事も良くあります。
「神田川」の単音の事といい、3人のサポートメンバーの事といい、帯にも襷にも丁度良い長さが必要なんだと言う事を教わった気がします。
2022年7月3日
広響POPSコンサート 広響と出会って22年。広響POPSを引き継いで17年。音楽に「解」は無いと分かっているし、
コンサートは毎回魔物が棲むという正に「生もの」。
模索は続いているのだけど、これだけ嬉しい瞬間が訪れたのは「永年勤続賞というご褒美を貰ったのではないか」という気がします。
クラッシック音楽を日常とするオケ業界にあって、間違いなくアウトローの私を使い続けてくれたオケはもちろん、
広島FMそして中国電力のサポートが有ればこその17年。
そしてこの日のゲスト森崎ウィンさん。NHKの番組で出会って以来、これまでに交わした言葉は二言三言だけ。
だけど彼の歌唱力はもちろん、その所作からして私はラスベガスの舞台に立つウィンさんを想像して、この日の為の編曲をしていました。
Fly Me To The Moonでスタートすることを提案したのも、その絵が見えていたからこそに他ありません。
しかして彼のエンターテイメント性は?....。正に私の目論み通り、いや200%だったと言って良い。
本番後、夜半まで彼と痛飲し、お互いの生い立ちとこれまでの活動、そして夢を語り合いました。
音楽は言葉無くとも本番の向こうが見えるという事を確認したコンサートでした。
マックス・スタイナーがヨーロッパを追われアメリカに移民したが故に出逢った「風と共に去りぬ」という大作品。
日本に移り住んだウィンさんの未来がマックス・スタイナーと同じで有るようにと、心から願った昨夜でした。
2022年4月21日
新日本フィルハーモニー交響楽団による、東京東信用金庫入社式コンサート。
フレッシュマン達の「入社をお祝いし、そして輝かしい未来を祈念する」という大変意義深いコンサートで、演奏する側も全力投球でした。
中でも新日フィルの名手達、フルートセクション; 渡辺泰・野口みお・野津雄太、クラリネット; マルコス・ペレス・ミランダ
そしてコンサートマスターの西江辰郎 、皆さんのソロは特筆すべきものがありました。
周りとの調和を尊ぶことが優先されるオーケストラという組織にあって、これだけソリストとしての傑出した才能が揃うオケは珍しい!。
ともすれば「全体で1つのオケ」として見られがちな演奏形態ですが、このオケは個々の顔の見えるオケと言って良いと思います。
どうぞ、新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会においで下さい。
2022年2月28-3月1日
NHK「映画音楽はすばらしい Vol.4」の収録も今回で4回目を迎えました。
新日本フィルハーモニー交響楽団の素晴らしい演奏と相まって、ある意味、完成形を見た様な気がします。
またゲストのみなさんの才能はもちろん、その努力の素晴らしいこと。若者達の大活躍は特記ものです。
放送前の版権クリアが大変で、スタッフはギリギリまでの交渉を余儀なくされるというこの番組、
正にNHKでなければ出来得ない番組と思いますし、ぜひ、続いて欲しい番組の一つだと思います。
ゲスト: 彩吹真央 生田絵梨花 ウエンツ瑛士 久保史緒里(乃木坂46)クリス・ハート GLIM SPANKY
平原綾香 宮澤エマ 山本耕史 ルイス・バジェ(Trp.) 小原孝(P.f.) 他。
2021年12月9日 布施明 meets 新日本フィルハーモニー交響楽団
布施さんとニューヨークで「まほろばの国」の打ち合わせをしてから奇しくも丸2年。「第2の国歌と言える曲を作ろう」と頂いたお題から、インスト曲としても使えるスケールの大きな曲を書いてみましたが、布施さんが付けて下さった歌詞はメロディーの意図を隅々まで汲んであるのみならず、想像以上に大きな世界観を持つものでした。
「第2の国歌」に相応しい品格を保つ為に、決してフックのあるメロディーを持つとか、キャッチーな言葉の連呼がある曲ではありません。しかも展開、転調していることからテレビサイズと呼ばれる2分40秒前後に切ることも不可能という、いわば流行歌に必要とされる要素をすべて排している曲なのです。が、すべて私たちの心が決めたままの歌詞でありメロディーであると言えます。
この日の歌唱そして演奏は、正にこの曲の持つ世界観そしてスケールを具現化したものだと思います。会場でも申しましたが、布施さんとファンの皆さまとがコンサートを重ねて行くうちに、この曲を育てて下さったことを強く感じた本番でした。
また、50年という歴史の力はもちろん、素晴らしい理解力とパワーで支えて下さった新日本フィルのメンバーの熱演に感謝する次第です。
2021年11月8-9日 の2日間にわたり、東京フィルハーモニー交響楽団とNHK「映画音楽はすばらしい! Ⅲ」の収録をしました。
映画史に輝く数々のメロディーを、名シーンと共に、豪華アーティストの歌声と極上のオーケストラサウンドでお届けする「フィルムコンサート」の3回目。
現在の日本を代表するボーカリストの素晴らしい歌唱はもちろん、オケとスタジオマンの競演などとても良い内容になったかと思います。
出演は、井上芳雄、海宝直人、崑夏美、中川晃教、濱田めぐみ、平野綾、森崎ウィン、ルイス・バジェ(Trp.)、庵原良司(T.Sax.)、塩谷哲(P.f.)他。
放送は、BSプレミアム 2021年12月27日(月)午後9:00~10:29 です。ぜひご覧下さい。
2021年8月5日 東京佼成ウインドオーケストラとの普門チャリティーコンサート。本番に向かって集中を高めてくる、原浩介(Cla.)、今村岳志、石村源海、佐藤敬一郎(Trb.)、つづらのあつし(T.Sax.) 、ソリスト達の好演を存分にお楽しみ頂けたものと思います。
そして歌姫・渡辺真知子さん。私がオーケストラによるポップスコンサートを始めた時の第1番目のゲストとして出演して下さって以後、多くのコンサートでステージを彩って下さいました。みんなの心を温かくしてしまう歌声は、ともすればメンタルがささくれがちなこの時代に「生きる喜びを再確認させてくれる」そんな存在でした。真知子さんありがとう。早く「打ち上げ」の出来る日が来る事を願って....。
2021年10月16日 新日本フィルハーモニー交響楽団 創立50周年記念 星に願いを 〜親から子へ聴かせたい名曲 〜
ご来場下さいましたお客様、お楽しみ頂けましたでしょうか。暖かなオケの雰囲気と相まって、クラウン麻里子の愉快なパフォーマンス。
クラウンは権力大嫌い!。そして棒振りという、一見権力の象徴として見えがちな仕事をしている私も権力大嫌い。
1つのコンサートを通して「棒を振ってみたい」と思い続けるクラウンが、「指揮者の棒を奪い取って、オケを振り始めてしまう...」という、
チャップリンを彷彿させるストーリーでお楽しみ頂きました。
ニューヨークに戻ったクラウン麻里子はすぐにパフォーマンスを始めていますので、 Twitter等、彼女のS.N.S.でチェックしてみて下さい。
彼女はアメリカでもオケとクラウンというジャンルを確立する様な気がします。
そして何よりこのコンサートを子供達にプレゼントして下さいました「ひがしんグループ」の皆さま、
そして創立50周年記念という言わば節目のコンサートに呼んで下さった、新日本フィルのスタッフに感謝する次第です。
2021年10月9日 生放送のNHKうたコンで、敬愛してやまない歌手の布施明さんが「まほろばの国」を歌唱され、
「日本人よ、今こそ奮え!、奮い立て!」という渾身のメッセージに思わず涙してしまいました。
この曲の企画は2年前の2019年暮れのこと。
「来年はオリンピックイヤーでもあるし、国歌というに相応しい曲を書いてみない?。私が詞を書くから...」という、
布施さんの申し出に心が震えました。
当初はオリンピックに向かっての讃歌であり国歌であるというコンセプトでしたが、途中で襲い掛かってきたコロナ禍により、
すべての同胞に対しての応援歌に変貌していったように感じます。
禍根は収束しつつある様に見えますが、まだまだスッキリした未来が見えず心晴れない今こそ、
布施さんの心からのメッセージを皆さんにお聞き頂きたくご案内いたします。
「まほろばの国」 作詞:布施明 作曲:藤野浩一 編曲:桑野聖
《通常盤:55th ANNIVERSARY SPECIAL ALBUM》《限定盤:陽はまた君を照らすよ AKIRA FUSE 55th Luxury Box》
2021年9月25日 Energia2021広響POPSコンサート。
気が付けば、私が振り始めて15回目を迎えたこのコンサートシリーズ。今年のプログラムの隠しタイトルは「私が憧れたアメリカ」。
ボストン・ポップスやシンシナティ・ポップス、そしてニューヨーク・ポップスの響きを、何とか日本でも表現できないものかと、25年前から手探りで始めたポップス・オーケストラ。この日の広響の素晴らしさたるや、涙が出るほど!!。スター・プレーヤーの多いこのオケのお陰で、日本におけるポップスオケの1つの回答を見た様な気がします。コンサートを飾ってくれた ソリスト達。Trb.清澄貴之、Vln.三上亮、Cello.マーティン・スタンツェライトの見事なまでの歌心。私自身が大変幸せな時間を過ごしたのです。
そしてゲスト・ボーカルの藤澤ノリマサ。彼と出会って10年余り。これほどオーケストラとの抜き差しの出来る歌手を見たことがありません。歌手としての能力はもちろんですが、私は作家としての彼に大変興味を持っていました。それが10年を経た今、大きくそして見事なまでに開花していたのです。この日のお客様は大変な名演に出会われたこと間違いありません。