Composer, Arranger, Orchestra Conductor
Koichi Fujino
作・編曲・指揮 藤野浩一
Koichi Fujino
作・編曲・指揮 藤野浩一
Illustrations by Mayumi Shibuya
2026年9月19日(土) 14時開演 宝くじおしゃべり音楽館 おしゃべり音楽館ポップスオーケストラ 宮城県多賀城市民会館
2026年9月22-23日 水樹奈々 NANA MIZUKI LIVE GRACE 2026 -OPUS Ⅳ- 国立代々木競技場第一体育館
2026年9月26日(土) 14時開演 宝くじおしゃべり音楽館 おしゃべり音楽館ポップスオーケストラ 東京都羽村市生涯学習センター
2026年10月4日(日) 14時開演 宝くじおしゃべり音楽館 おしゃべり音楽館ポップスオーケストラ 福井県鯖江市文化センター
2026年12月5日 新日本フィルハーモニー交響楽団 ミュージカル & ポップス with 宮澤エマ すみだトリフォニーホール
2026年9月22-23日 水樹奈々 NANA MIZUKI LIVE GRACE 2026 -OPUS Ⅳ- 国立代々木競技場第一体育館
2011年に始まったLIVE GRACEシリーズ。その1作1作それぞれに素晴らしい思い出があるのですが、今回は間違いなく別格の経験をしたと思っています。
作業の始まりは5月29日に行われたオンラインでの編曲ミーティング。奈々さん、格さん、門脇さん、スタッフチーム、
そしてオケメンバーを集めてくれる関谷女史と私が参加したのですが、何とその席ですでに全ての曲目が決まっていたのです。
こんな事は滅多にありませんし、その歌手を良く知らないプロデューサーが仕切るほど、変更が増える傾向にあります。
しかもGRACEシリーズも回を重ねて4回目となり、かつてやった曲を極力被らないようにするのですから選曲は一層難しくなります。
奈々さんと共に奈々さんと同じ道を歩いてきたというノウハウやコンサートに懸ける想いが必要で、
だからこそ「Nana Mizuki Concert Produced by Mizuki Nana」が出来上がったのだと思うのです。
大変多忙にしている中でプログラムを組み上げ、映像チームや照明チームに自分の思いを具現化してもらえるように、
頭の中でコンサートを構築した後に伝えるべき言葉を編み上げる。どんなに孤独で大変な作業だったでしょう。
その時間と仕事量を想像するだけで私は途方に暮れます。そして決まった曲目は1曲の変更をすること無く全て本番で歌い尽くしていたのです。これこそがクロート仕事。
今回ステージサイドの高い席から見ておられたお客様は、奈々さんが一切プロンプター(歌詞を表示するディスプレイ)を見ていなかったことに気が付かれたと思います。
これは1週間前に行われたリハーサルでも同じでした。全てを覚えこんでリハーサルそして本番に臨んでいたのです。ともすれば、全国各地でコンサートと呼ばれる、
カラオケボックスのカラオケごっこと大差ない演し物が繰り広げられていますが、奈々さんのそんな真摯な姿を理解している皆さんの審美眼は本物だと思うのです。
奈々さんはオーケストレーションにどの位の時間を要するかが分かっていたのでしょう。私はオーケストレーションに3ヶ月という時間の猶予を頂いたことから、
1曲1曲十分にオリジナルとの検証を重ねつつ「これを提出して、お前は恥ずかしくないのか?」と叱咤、自問しながら作業を続けて行きました。
そしてその中の5曲を、今年国立音大ジャズ科を首席卒業した鈴木真明地に委ねました。
努力家であり、ある種の天才でもある真明地には私から音楽的なアドバイスはしていません。
共有したポリシーは、「言葉でオケに説明すること無く、今俺達が交通事故で死んだとしても、譜面通りに弾いてもらえば問題なく良い音がするように...」でした。
そして私たちの譜面を具現してくれた、腕っこきスタジオマン達の図抜けた演奏能力よ。そんな素晴らしいアーティストの中にあっても声を大にして伝えておきたいのは、
コンサートマスター室屋光一郎という男の存在です。通常スタジオマンはスタジオに来て初めて譜面を見、そしてわずか1-2時間で1曲を仕上げます。練習時間も
拘束時間の内に含まれていて、その時間内で仕上げるのです。ただ今回はとてつもない難曲が20曲も続くので、当然管も弦も練習時間内だけで肉体の限界が訪れます。
室屋は前もってメンバーに譜面を送っていたのだと、後にマネジメントから聞きました。決して「練習しておけよ!」ではなく「現場で集中するあまり疲労度が上がらないように、家で譜面だけちょっと見ておいてね」という彼ならではの心配りゆえのことであるのは間違い有りません。
もちろん家で練習しなくても出来るほどの素晴らしいスタジオマンばかり、現場の練習からがギャラの内なのですが、
みんな家でどれほどの練習をしてくれていた事かは、1度の音出しで分かるのです。
それはとりも直さずメンバーの「室屋に対する尊敬」や「この人なら付いていきたい、一緒に音楽を作りたい!」そして「自分は室屋アンサンブルに呼ばれている!」
というプライドの表れだったと思うのです。これは各セクションのパートリーダーも同様で、長い間スタジオ界の頂点として働いていくのは「仕事を沢山持っているから...」などという、おざなりな言葉で表せるものでは有りません。
彼の持つ技術は勿論、その人間力が本当に良い弦セクションを作り、そしてコンサートを作ってれたと思うのです。室屋さん幸せな1本にしてくれてありがとう。
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